総合商社からの転職を考える方からの相談を多く受ける中で、やはり総合商社から転職する場合は、安易に年収の下がる転職を行うべきではないとの思いを強くしています。
総合商社はホワイト企業
極端なパワハラ上司にあたらない限り、現在の総合商社は日本企業のなかでもかなりホワイトな部類だと言えます。
バリバリの営業部署ですと、待遇が良いだけあってメーカー等に比べると業務負荷は高いと思いますが、それでも年収比での労働時間と負荷は少ないほうです。
また、営業でついていけない人だと判断されると、暇な部署に異動させられることがあります。これは、見方を変えると最高の異動になりえます。
営業で高負荷の業務をこなすのと、暇な部署でのほほんとしているので年収にほぼ変わりはありません。
営業でバリバリやっていないと出世は厳しいでしょうが、暇な部署で9時5時で働いて年収1500万円もらえるのであれば、ある意味最高ではないでしょうか。
このように商社はかなりホワイトかつ年収水準が高いです。
転職してもサラリーマン特有の苦しみは消えない
やりがいを求めて、年収の下がる転職をした方は後悔していることが多いように感じます。
結局転職したとしても、会社と業務が変わるだけで、サラリーマンとしての共通の苦しみのようなものはどの会社にも存在しています。
やりがいや自分の興味ある仕事ができればお金は関係ないというほどサラリーマンの仕事を好きになれる方は少数です。
転職当初は新鮮さに満足していても、段々とその新鮮さに慣れてきます。そして総合商社時代と同じく月曜日から金曜日まで日中のほとんどの時間を仕事にあてているのに、収入は〇割減だという事実が気に食わなくなってきます。
人間そんなものです。
そもそもサラリーマンは多かれ少なかれ人に指示されたことをこなすという職業です。
それにともなう特有のつらさはどの会社でも共通しています。
そのつらさに耐えて取り組む価値があるかどうかを収入との兼ね合いで考える人は多いです。
転職して、仕事内容に満足できるかどうか、そこで活躍できるかどうかは運の要素も強いです。一方で、待遇だけは転職前からある程度数字で予測することができます。
仕事内容自体がこんなはずじゃなかったと思っても、収入が前職を超えていればそれだけで転職を自分の中で正当化することができます。
しかし、仕事内容が期待外れ・能力が発揮できずつらい時に、収入まで前職からさがっていたら、なんのために転職したのか本当にわからなくなり、後悔しきれません。
年収が下がっても良いから高度な仕事・キャリアを築ける仕事をしたいという方へ
総合商社よりも年収が下がる転職先で、転職後の活躍次第で大きく収入を伸ばし、キャリアを築ける職業はかなり限定的だと思います。
本当に高度な仕事であり、付加価値を生み出せる職業であれば、転職段階で少なくとも商社相当の報酬がもらえてしかるべきだと思います。
年収が下がっても良いからキャリアを築くんだ!と思って、他社のサラリーマンに転職しても、給与という客観的な物差しで見た時の評価が下がってしまうことは、キャリア形成における進展と言えるでしょうか。
キャリア形成を目指して、収入が下がる転職をするのであれば、転職後の独立を目指したり、自らリスクを取って事業を起こす等の選択肢も視野に入れるべきだと思います。
総合商社よりも収入の良い転職先について
では総合商社よりも収入のよい転職先はどこでしょうか。これもかなり限られてきます。
基本的には商社よりも格段に労働時間が長く、求められる能力も高い職業になります。
ここは結構な悩みどころです。総合商社よりもいっそう厳しい働き方をして年収を上げたいのか、ワークライフバランスを取りたいのか考えてください。
私の同期は外資金融に転職して、朝9時~深夜2時まで働いています。年収は商社時代から倍になっていますが、労働時間も倍程度になっています。
ここまで読まずとも総合商社在籍の方はお気づきだと思いますが、商社はそこそこバランスがいい勤務先です。
ぶっちゃけ、精神的にどうしても無理だという状況でないのならば、そのまま商社に残り続けるのは悪くない選択だと思います。
なんとなく「やりがい」という言葉にとらわれて、収入が下がり、付加価値の低い仕事につくことがないように気を付けましょう。
労働者にとって収入は自分自身の仕事の大きな評価軸です。まずはそのことを認識しましょう。
なんとなくで商社をやめると後悔する可能性が高いです。
商社マンにとって転職活動をしてみること自体は悪い選択肢ではない
現在の待遇が良いだけに、一般論としてなかなか良い転職先が見つけにくいのが商社マンです。しかし、転職サイトに登録してエージェントに会ってみることは価値があると考えます。
まず、上記で紹介したような商社を超える転職先がなかなかないという事を身をもって知ることができます。
次に、あなたの所属する業界とキャリアによっては、商社の待遇を超える掘り出し物的な転職先が見つかる可能性もあります。
大人数を定期採用しているような企業ではなく、あなたが商社で担当していた商材を扱う外資企業にポジション空きが出たなど、巡りあわせのような機会をつかめる可能性もあります。
安定して比較的高給の総合商社に在籍しているという強みを活かして、転職市場における自身の価値を測ることと、良い巡り合わせを待つつもりで、急がず腰を据えて転職活動をしてみることをお勧めします。
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