今回は、商社マンからの転職はある程度思い切りが必要だという話をします。
私は友人などから転職相談を受けた際には、まずはじっくり転職活動をしてみるべきだという話をしています。稚拙な行動はあまりよい結果につながらないことが多いからです。
しかし、じっくりと転職活動に取り組み、転職のメリットもデメリットも検討しつくしてそれでも決められないという方には、心の声に従って思い切って転職してみることを勧めています。
私自身も、転職を決める際に最後まで悩みましたし、なかなか決断を下すことができませんでした。
「将来のための我慢」をし続けて、人生の終わりを迎えて後悔をしたくないという思いから転職に踏み切りました。
私が転職に踏み切るまでに考えたことをご紹介します。
商社マンからの転職:客観的に見れば商社マンから転職する理由は少ない
商社マンからの転職活動をしていると、今の状況が客観的にいかに恵まれているのかということがわかってきます。
総合職は全員年収1000万円を軽く超えますし、現状ではクビにされることもありません。
また、今では働き方改革が進んでおり、ひと昔前と違って深夜残業や休日残業がほとんどありません。
有休休暇も社内規定の「義務」として年間最低〇〇日以上とらなければなくなっています。
上司は人事から研修を受けさせられて、昭和のようなパワハラをしないようにきつく会社から言い渡されています。
過酷な営業で活躍できなかった方を受け入れることができる間接部門が社内にいくつも用意されています。
ほとんど仕事のないような部署に長年勤務して、クルーザーを買った方もいました。
客観的な条件だけを見ると、商社からあえて転職する理由はかなり少ないと言えます。
実際に、商社マンの離職率は他の日系大企業と比較しても低いです。
しかし、客観的な条件だけを考えていると、いつまでたっても商社から転職できなくなります。
商社マンからの転職:「割のいいバイト」で人生を終わらせていいのか
私自身も、労働条件面を考えてなかなか商社からの転職に踏み切れなかった経験があります。悩みながら2-3年を過ごしました。
しかし、最後の一押しになったのは、「このまま商社でやりがいと喜びを感じずに人生を終えたくない」という強い気持ちでした。
私はそもそも、商社に入った当時は激務を覚悟してリスクを取ってビジネスがしたいと考えていました。安定を求めるという気持ちはありませんでした。
それがいつの間にか、そこまで必死に仕事をしなくても「こなせるな」と思い始めるようになりました。
そして、給与と拘束時間のバランスを考えると商社マンは「コスパがいいな」と思うようになってしまっていました。
私と同じように感じている商社マンの方も多いのではないでしょうか。
「商社の仕事は本当に割のいいバイトだ」と言う発言を同僚の商社マンから聞いたこともあります。
安定していて仕事にも慣れた商社マンの立場を手放すのは恐怖感があります。
商社を辞めたことを後悔するのではないかと悩みます。
しかし、「割のいいバイト」を一生続けて、自分が老人になったとき、その人生をどう振り返るのかと考えたとき、私自身は大きな恐怖感を覚えました。
商社マンからの転職:「将来の準備」をしていると準備しているだけで人生が終わる
現役省商社マンから「将来独立したい」だとか、「商社での担当業務以外にやりたい業務があるけれども、今は商社に勤めて将来のための準備をしている」という話をよく聞きます。
しかし、いつかやろうと思って準備していると、大抵の場合、そのまま人生が終わってしまいます。
商社に入ったばかりの頃は、野心や野望があった方が多いのでないでしょうか。
そのほとんどの方はいつの間にか牙を抜かれてしまいます。
人は確実な未来を求めがちで、それゆえに決断を迷います。
どれだけ慎重に検討を重ねても、「商社から転職したほうが良い!」と事前に100%確信することは難しいです。また、商社を辞めた後に自分が望んだ成功を手入れられるという確証はつかめません。
だからこそ「リスクを取って、思い切って転職する」と自分で決断することが必要です。
商社マンからの転職:商社マン生活を振り返って見えてきたもの
私は、商社からの転職を決めた際に、約10年の商社マン人生を振り返りました、振り返ってみて良かったなと思うことは、「語学研修ができた」「給料が良かった」「いろんな国に出張に行けた」「駐在して外国文化を学べた」等でした。
気が付きましたでしょうか?仕事内容自体で商社に入って良かったと思ったことは一つもなかったのです。
仕事内容自体への思いを整理したときに「この10年時、情熱を注げないことに対して時間を無駄にしてしまったな」という素直な思いが湧いてきました。
散々迷って、数年間転職活動をし続けて、最後にやっと自分の気持ちに素直になることができ、転職する道を選びました。それだけ商社からの転職は難しいことでした。
現在、商社からの転職を迷われている方の気持ちはよくわかります。
私同様に心の中で答えはすでに出ている方も多いのではないかと思います。
「安定を捨てて挑戦する人生を選ぶ」のか、「安定をとって一生自分の心を押し込めるのか」。
私は、現状に満足できないからと言って急いで転職してしまうことは全くお勧めしていません。
しかし、時間をかけてじっくりと転職活動をしたのちに、やはり現在の職場にとどまり続けることに違和感がある場合、腹を括って一歩踏み出すことが必要だと考えています。
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