総合商社を辞めて後悔している方はいるのでしょうか。
ネットやSNSでは総合商社を辞めて、外資に行ったり起業したりと元商社マンの華々しい経歴が語られています。
一方で、総合商社を辞めて後悔しているという話はあまり見かけません。
やはり人間失敗談はあまり語りたくないものです。
総合商社をやめてよかったと語るエピソードは大体、外資でより刺激的な環境を手に入れたとか、総合商社を飛び出して起業したとかですよね。
そのようなエピソードばかり見ていると、「俺も商社を踏み台にしてより華やかなキャリアを築くぞ!」と思ってきます。私もそうでした。
しかし、今日はあえて総合商社から転職して後悔している方の実エピソードを見ていきたいと思います。
私の同僚や同期の元商社マンから直接聞いたエピソードになります。
転職の失敗談自体あまり語られることはなく、成功ばかりが語られがちですが、失敗した場合どのような状況になり、どのような心理状態になるのかあらかじめ考えることも必要だと思い、今日のお話しをします。
総合商社を辞めて後悔①日系企業への転職 ~永久に商社の収入を超えられない~
私の比較的仲の良かった同期で入社数年で総合商社を辞めた方がいます。
この方は心優しく穏やかな性格であまり商社マンっぽくありませんでした。
だからこそ私と話が合う面があり、入社1年目の頃にはよくご飯に行き、理不尽な先輩の話などを共有しあって、お互いに励まし合っていました。
その後、彼は3年目の前半で総合商社からメーカーに転職していきました。
やはり総合商社の「オラオラ系な雰囲気」になじむことが出来ずに、収入が下がっても良いので自分らしく働ける場所に転職したとのことでした。
転職後も彼とは定期的に食事をしており、近況報告をしあっていました。
転職した当初は「まろやか」になった働き方に満足していたものの、職業により本格的に収入差が出始める20代後半には、「総合商社を辞めていなければ収入はよかっただろうな」という趣旨の話をするようになり、現職では出世したとしても一生総合商社の待遇を超えることはないだろうなというぼやきをしていました。
働き方が合わないということで総合商社から転職して、自分に合う働き方ができるようになったという点に関しては変わらず満足しているものの、総合商社に留まり続ければ得られていたであろう給与を考えると後悔を感じることがある模様です。
若い独身の間は給料が少なくても大したことはありませんが、家庭をもつようになってくると大抵のサラリーマンは少しでも金銭的余裕が欲しくなるものです。
総合商社から他の日系企業に転職すると、年間100万円以上給与が下がることもざらです。
やはり人はないものねだりになる性質を持っており、商社の高収入を手放すことで後悔する方もいるという事は覚えておいて損はないと思います。
総合商社を辞めて後悔②外資企業への転職〜安定を捨ててしまった〜
商社マンからの転職先成功例としてよく取り上げられる外資金融ですが、うまく仕事に慣れることができ、適性を発揮できれば商社を軽く超える収入を手にすることができます。
ただし、中には後悔する方がいるのも事実です。
私の元同僚でも、転職後にあまりにハードな働き方についていけず、後悔している方がいます。
もちろん外資金融に転職するので、転職前からハードな働き方を覚悟していましたが、実際に働いてみると体力と気力がついていかないというのが正直な感想とのことです。
彼は毎日睡眠時間が4時間を切っており、周りの同僚も同じような状況ですが、そこで生き残っている人はそれをものともしないような方ばかりで、弱音を吐くわけにもいかず、かなり苦しいようです。
いわゆるサラリーマンではなく、プロフェッショナルとしての働きと成果が求められ、睡眠時間を削って仕事をしたからと言って頑張りが評価される訳でもありません。
睡眠時間を削るくらいハードに働いてはじめて結果が出るかどうかのスタートラインに立てるのとのことです。
また、頭脳だけでも自分よりも優秀なのに、それに加えて鬼の体力と気力がある同僚や上司も数多く存在しており、自信喪失気味とのことです。
転職して今はなんとか勤め続けていますが、これを5年以上続けられる自信はないらしく、商社マンの「まったりした」働き方と安定した雇用を手放したことをかなり後悔し始めているとのこと。
この同僚は私と仲が良かったため、本音を語ってくれましたが、あまり親しくない知人には少し見栄を張って外資の華々しい面を語ってしまうとも言っていました。
やはり、人は失敗談や後悔していることについて公にはしたがらないものなので、転職後の後悔に関する情報がネットに上がっていることも少ないです。
商社よりも好待遇の職場はやはり高負荷の環境であることが多く、そこに集まっている人材も優秀な方が多いです。その中で自分自身が相対的優位を確保し続けることができるのかということは転職前によく考えたほうが良いでしょう。
職場では同僚との比較においてしか優秀性を判断する術がありません。比較優位を保てない厳しい職場に転職したとき、給与は高くても精神的に追い詰められて長く続かないリスクがあります。
外資に転職して華々しく活躍している元商社マンは、商社時代から圧倒的な成果を出していたエース級だったりします。
総合商社を辞めて後悔③不祥事で転職
特殊例ですが、不祥事を起こして総合商社を辞めざるを得なくなり後悔しているというパターンも存在します。
どの企業でも年に数人は「やらかす」人が出てくると思いますが、わたしの同僚でもやらかした人がいました。
その方の辞やめてからの後悔は直接聞いたわけではなく、また聞きなのですが、理由が理由なだけにかなり後悔しているとのことです。
その方は「やらかし」が比較的軽度であったこともあり、人事部から再就職先を紹介される形で実質的にクビになった模様です。
彼自身は商社での仕事と待遇に満足していたこともあり、一時の気の迷いでやらかしたことをひどく後悔しており、転職先の仕事の充実度と待遇が下がったことに心を痛めているようでした。
サラリーマン社会ではやらかして実質クビになった方が再度、日の目を見ることはかなり難しいです。
特殊例の私ご紹介となりましたが、不本意な形で転職せざるを得ないようになることだけは避けましょう。
入社数年目で血気盛んな際に起こす酒に酔ってのやらかしと、年次があがってきて社内で権力を持ったことによるハラスメント系やらかしが、私の周囲の2大やらかしでした。
気をつけましょう。
総合商社を辞めて後悔④ベンチャー企業への転職〜抜けないエリート意識〜
The日系大企業である総合商社に嫌気がさして、ベンチャーに転職して後悔している知人の元商社マンもいます。
一言で言うとエリート意識が抜けきらずにうまく転職先になじめない、ということで後悔しています。
総合商社マンであればわかると思いますが、なんだかんだで総合商社には自信過剰のエリート意識の高い方が多いですよね。
私の知人も、ある程度商社で勤務をしてからアラサーでベンチャーに転職しました。
当然のことながら商社とは仕事の進め方とカルチャーが大きく違います。
そんな中で、大企業・総合商社で能力を発揮してきた知人は、なかなか総合商社での働き方を捨てることができずにいるとのことです。
なにかにつけては前職での合理的なやり方を主張してしまうことが多いと言います。
人材が豊富で、社内システムも整っている総合商社でできた合理的な仕事の進め方が、ベンチャーでできるはずがありません。
元総合商社マンだという自負とエリート意識がなかなか抜けずに、周囲とうまくなじめずに能力を発揮できない苦しい状況が続いているとのことです。
これまで築いたものを捨てて「チャレンジだ!」と思っていても、なかなかそのようにふるまえないこともあるようです。
総合商社マンの方で、事業規模や待遇の下がる転職先に転職する場合は、自分のなかにこびりついた無駄なエリート意識がないかどうか気をつけましょう。
最後に:後悔しない転職のために
人間は後悔しやすい生き物です。
そして総合商社勤務は被雇用者のなかでは、給与と働き方のバランスのとれた「そこそこ良い」職業だと思います。
だからこそ、転職して後悔しやすいともいえます。
とはいえ私は、「そこそこ」の生活と仕事内容に満足していない方には「挑戦しなかった後悔」よりも「やってみて後悔する人生」をお勧めします。
もちろん、なるべく後悔しないような選択をするのがベストだと思います。だからこそ、本日は、よくある後悔パターンを紹介しました。
転職して望み通りの状況にならなかったときのことを考えて、これくらいの後悔なら全然引き受けられると思うのか、絶対に後悔したくないと思うのか考えてみて下さい。
まずは、転職エージェントを壁打ち相手にして、相談してみるのも悪くない手段です。
友人に聞かれてお勧めしているのはdodaです。
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