商社マンが転職を考える上で、社内で他部署への異動することも一つの選択肢として有効に機能します。
特に転職したい理由が人間関係から来ている方と、業界を変えてビジネスがしたいと考えている方にとって、良い選択肢の一つとなります。
私自身も社内転職を試みた経験があります。結果としてその時は叶いませんでしたが、社内転職を試みるプロセスの中で今後のキャリアに対する考えを整理することができました。
また、実際に社内転職を成功させた方の体験談も聞いていますので、社内転職を成功させるためのヒントもお話しします。
記事の最後には、社内転職ではなく他社に転職するのがおすすめの方についても解説します。
総合商社は様々な会社と業務の集合体
総合商社マンの方であればすでにご存知だとは思いますが、部署が変わればほとんど別会社とも言えるほど取り扱い商品やビジネスの進め方が違います。
ビジネス内容や対面業界が違っていることで、そこで働く商社マンの性質も変わってきます。
対面業界が重厚長大の日系大企業と新興IT企業ではコミュニケーションの取り方は大きく違ってきます。
同じ総合商社に入った同期でも、入社10年程経つと、精神的にかなり変化します。考えが固くなった人、思考が柔軟になった人、アグレッシブになった人、保守的になった人、様々です。
これまで経験してきた社内の部署と対面業界が大きな要因になっていると感じます。
現在の所属部署の雰囲気や人間関係が嫌で他社への転職を考えている方や、取り扱い商品に興味が持てずに転職を考えている方はまず、社内で他の部署に移ることができないか検討してみるのはありだと思います。
私自身は部署を変える事は叶わなかったのですが、駐在先で他部署の方と交流し、仕事の話を聞く機会が多かったので、社内でも部署が変わればほとんど別会社のようなものだなと思うに至りました。
待遇と給与が同じで好きな業界にいける
転職活動を進めていくと総合商社の待遇がいかに恵まれているのかを認識することとなります。
転職先で、今と同じ収入を獲得するためにはどのようなスキルを身につけていなくてはいけないのでしょうか。
その分野の専門知識に加えて、マネジメント経験も要求されることが多いです。
総合商社マンの場合、本格的なマネジメントを経験する課長やチームリーダー級になれるのは40歳前後でしょうか。。。
マネジメント経験がなく、際立った専門知識のない人材に高給を払ってくれる企業は限られてきます。
転職活動の結果、自分の行きたい業界に行けて、現職並みの待遇を得ることができれば満足できるという方もいるでしょう。
社内転職で業界を変えることも検討の価値ありです。
人間関係はリセットできる
これまで多くの商社マンの転職事例を見てきましたが、人間関係がストレスとなって転職活動を始める方が多数います。
業務自体がイマイチでも一緒に働く上司や同僚が尊敬できて、良好な関係を築くことができているので、転職しない商社マンは多くいます。
10年以上勤めて会社に残っている同期の中でも、「年功序列で、仕事自体もそこまでエキサイティングではないけど、人間関係が良好で待遇も良いか辞めない」という層がかなりいます。
一方で、モンスターのような上司や先輩と同じ部署になってしまい、部署内ローテーションはあるものの、将来的に嫌な上司や先輩と何度も同じチームになることが目に見えている場合、転職意欲が急激に高まる場合が多いようです。
商社の場合、ワーカホリックで激務残業を厭わず、後輩や部下に対しても同じ水準で働くことを求めてくるタイプが多いように思います。
私も、睡眠時間や休日を削って働く上司のもとで同じ働き方を強要された際には、仕事自体の充実度に関係なく、転職意欲が劇的に高まりました。
しかし、一旦冷静になって社内を見渡すと知らない人ばかりです。大企業ですので話したことも見たこともない人がたくさんいます。
全く違う部署(例えば資源事業部からIT事業部)へ異動すれば、人間関係はほぼ完全にリセットできます。
例えば、全く違う部署へ異動していった人のことを考えてみてください。
よっぽど個人的に仲が深かった方以外は、あなたの人生からほぼ完全に消えてしまっているのではないでしょうか?
あなた自身が全く取り扱い商品の違う部署へ異動した場合、今の部署の上司と同僚をほぼ全員、自分の生活から消し去ることができます。
廊下ですれ違った際に少し挨拶するくらいでしょう。
社内で大きく部署を変えることで、転職したかのように人間関係をリセットできることは、社内転職の良いところだと言えます。
ある程度年次を重ねてから別部署に異動すれば、例え上司や先輩であっても大人同士ですので、ある程度の礼節を持って接してくれることが多いでしょう。
自分が新卒の時からの先輩や上司ですと、その頃の一方的な上下関係のまま、何年経っても同じ関係が継続していることがあります。
社内転職は高圧的な先輩や上司から離れる有効な手段です。
社内転職する方法
人間関係をリセットできて、業界も変えられて、待遇はそのままという好条件の商社社内転職ですが、唯一にして最大の難点は、自分の意思で異動ができないという点です。
従業員の異動は会社の決定事項であり、従業員個人の意思通りになるケースは稀だと思います。
社内異動を実現させる有効な手段は強い異動の意思を示し続けることです。
上司とのキャリア面談で「異動したいのですが。。。」くらいの勢いではダメです。
「異動できないなら会社辞めます」くらいの勢いが必要です。
また、1度希望を言って拒否されることは当たり前です。2-3年間、キャリア面談やその他上司と話す機会に同じことを繰り返し訴えましょう。
私の知る、実際に社内転職を成功させた方は中途入社で希望外の部署に配属されてしまいましたが、3年間異動希望を伝え続けて4年目に希望部署に異動していきました。
また別の方は、営業志望であったにも関わらずコーポレート部門に配属され、4年間状況が変わらず、辞職を決意。辞職の意を伝えて人事と面談を行っている際に、営業への異動を提示され異動を実現しました。
このように、社内転職は並々ならぬ意志の強さと持続的働きかけが必要となります。
現在担当している職務で、ある程度の評価を得ている従業員が強く長く主張し続けた場合には、その意見が通るケースが多かったと記憶しています。
商社は声の大きい従業員の主張が通り易いという特徴があると感じます。
従順に上司の命令だけに従うよりも時には強く主張することも大切です。
私の場合は辞職覚悟で異動を訴えましたが、結局その時は希望が通らず、その後社内転職よりも良いと思える選択肢に出会い、商社を飛び出しました。
社内転職は叶いませんでしたが、その意思を上司に示した事は良かったと考えます。
私が不満に感じていた定型業務から外してもらい、自由度の高い業務に担当替えを行ってもらいました。
また、引き留めの部分もあったとは思いますが、業績評価も上げてもらえるという副次的効果がありました。
辞職して転職するほどの覚悟が決まっているのであれば、最後に会社に対して強く強く主張してみても損はありません。失うものは無いです。
社内転職を成功させるコツは周囲が引いてしまうほど強烈に主張する事です。
社内転職ではなく、他社に転職すべき場合はどんなとき?
異動が叶いにくいという点以外はメリットの大きい商社内転職ですが、下記のような方はやはり社外への転職を目標に転職活動すべきでしょう。
やりたい事が詳細に決まっている方
なんとなくIT業界であったり、なんとなく消費者に近い業界がいい、というような希望は商社内社内転職で叶えることができますが、webマーケティングをしたいんだ!お菓子を企画したいんだ!等の具体的かつ強い希望がある場合は、商社ではなかなかその希望を叶えることは難しいでしょう。特定の職種や特定の商品を扱う会社に転職するのが希望を叶える近道です。
より短期間で成長したい方
商社での仕事がぬるいと感じており、より高負荷でも速く成長したい方には、希望が叶うまでに時間がかかり、高度な仕事に就かせてもらえるとは限らない社内転職は魅力的ではないでしょう。業界内の外資に転職したりコンサルや投資銀行への転職がおすすめです。
桁違いに稼ぎたい方
これは年功序列の商社では不可能なため、大きく稼げる成果主義の企業に転職するしかありません。商社は10年目程度まで日系企業の中でもかなり強めの年功序列制です。同期より数倍成果を出しても、年収はほぼ同じで、働かないおじさんより年収が低いです。
人間関係が辛くて耐えられない方
これは今すぐに転職してください。
あなたの人生よりも尊い仕事など存在しません。
耐えられないほど嫌な人と付き合い続けて精神を病んで人生を棒に振らないでください。
このサイトで再三発信していますが。仕事はあくまでもあなたの人生を充実させる1つのツールでしかありません。
仕事に人生を振り回されるのは主従が逆転した状態です。
再度強調します、仕事はあなたの人生の一部分でしかありません。商社を辞めてもどこに行っても何をしても生きていけます。商社より稼ぐ方法もたくさんあります。追い詰められる前に環境を変えましょう。
まとめ
• 総合商社は多種多様な仕事の集合体、業界を変えたいという希望は社内転職で叶えられる。
• 社内転職で煩わしい人間関係もほぼリセットできる。
• 商社の待遇を変えずに業界を変えて人間関係もリセットできる社内転職は悪くない選択肢。
• 社内転職には強固な意思と、ある程度の時間が必要。希望はすぐには叶わない。
• 特にやりたい事が決まっている方、成長スピードを加速させたい方、より稼ぎたい方、人間関係が辛すぎる方はすぐに他社に転職すべき。
私自身社内転職は、一定の条件下では悪くない選択肢だと考えています。
また、社内転職を試みると同時に、転職エージェントとの接触や転職サイトを通じた転職活動を並行して行うことをおすすめしています。
他社への転職活動だけでなく、社内転職も同時に検討する事で、より人生の選択肢を増やすことができます。
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